続・花は島いろ

沖縄産養殖サンゴのブランド化目指す

Aqua Culture Okinawa(アクア・カルチャー・オキナワ)社長

平良 栄康さん(46歳)

(平良字下里出身)

 【那覇支局】二〇〇五年の六月、晴れて会社の社長になった。「Aqua Culture Okinawa(アクア・カルチャー・オキナワ)」(所在地・浦添市)。観賞用のサンゴなどを養殖し、卸売りするベンチャー企業だ。養殖地「沖縄」と「海の環境保全」を強調したブランド化を目指す。
 平良さんは一九九五年に沖縄電力の関連会社である沖電設計に入社。同社で環境調査の仕事に従事していた際、九八年と二〇〇一年の二回、大規模なサンゴ白化現象を目にしたのがサンゴの養殖研究に取り組むきっかけとなった。「サンゴ再生がビジネスになるのでは」と考えたという。
 サンゴ養殖技術の資料を集め、〇三年に県の「産学官共同研究推進事業」に応募したところ通り、研究がスタートした。プロジェクトリーダーとして、亜熱帯総合研究所の職員らと二年間研究し技術を確立。同成果を踏まえ、沖縄電力の社内ベンチャー制度「MOVE2000プログラム」に応募した結果、合格し〇五年六月十三日に会社設立へこぎ着けた。
 資本金は千五百万円。株式の持ち分は沖縄電力が六〇%、平良さんが三五%、沖電設計が四%、浦添宜野湾漁業協同組合が一%。陣容は役員二人、パート四人の合わせて六人。「将来、環境にかかわる大きな仕事がしたい」という夢の実現だった。
 施設完成後の昨年八月、養殖を開始した。水槽の中では、カラフルな養殖サンゴやウミアザミなどのソフトコーラル(骨格を持たないサンゴ)、シャコ貝、熱帯魚などが日々成長。同十月中旬には、東京へ初出荷した。
 サンゴの台石(焼き物)には番号を付け、沖縄の同社が育てた環境に優しい商品と分かるようにした。同社が本来の目標とする卵からのサンゴは、養殖中で数年後の出荷を目指す。同社はディズニーアニメで有名になった「ニモ(クマノミ)」の人工ふ化にも成功しており、将来目玉商品に成長しそうだ。
 取引先は、本土の海水魚問屋の五社。「引き合いは多いが、生産が追いつかない」と苦笑いする。三期目(〇七年度)の年間生産は四万個体、売上高約六千万円を計画する。
 水槽で育てる観賞用サンゴが近年人気となり、これに伴う密漁が問題になるようになった。平良さんによると、出回り量の一五%が出どころ不明なものだという。同社は、出どころの明確な環境に優しい養殖サンゴの供給による「出どころ不明サンゴの減少」を事業の基本戦略に据えている。
 養殖施設は陸上にあり、視察に訪れる研究者や教育関係者らも多い。「将来は海の研究の中心的場所、子供たちの環境教育の場、海の生き物を全部養殖できるような、作り育てる会社に発展できればと思う」と、展望を描く。
 平良 栄康(たいら・えいこう)1960(昭和35)年1月27日生まれ。宮古島市平良字下里出身。79年宮古高校卒。84年琉球大学工学部建設工学科卒。95年沖電設計に入社、環境調査などを担当する。99年同大学工学部工学研究科(大学院)を修了。資格は技術士、環境計量士、環境カウンセラーの取得など高度なノウハウを持つ。恵子夫人との間に3男1女。

                                                                        (新城孝夫記者)
 

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