続・花は島いろ

「親孝行」が原動力

住宅リフォーム会社「匠の技沖縄」代表

伊計 高秋さん(49歳)

(旧伊良部町前里添出身・沖縄市在)

hanashima-1.jpg (28935 バイト) 「一日でも早く親孝行がしたい」―。この親への強い思いが原動力になり、今人生に大きな花を咲かせた。経営する住宅リフォーム会社「匠の技沖縄」はブームの波に乗り順調に業績を伸ばし続けている。
 十五歳のころ、佐良浜中学校卒業と同時に、沖縄市泡瀬でベッドの製作所を営む兄を頼り沖縄本島に渡った。父の身体が不調で家が貧乏だったので高校への進学を断念。兄のところに住み込みで働き、給料はすべて実家に送金した。「中学を卒業したら働いて親に仕送りをする」。それが当たり前だと思っていた。伊計さんはその時以来、今でも毎月実家にお金を送っているという。
 それから三年が経った十八歳のころ、「これまでの技術を生かして大工の見習いをやってみよう」と思い那覇に出た。外の現場で働く仕事が楽しくて、四年間で多くの技術や知識を身に付けた。
 一九七七年、二十二歳で独立。型枠工事下請業の「伊計組」を創業した。九三年には、総合建設業「秋建設」として法人化。土木建築一式を元請けするほか、設計、不動産事業も展開する。本島北部から南部まで、住宅やアパートなどの建築を数多く手掛けてきた。
 しかし、建設業界にも次第に不況の波が押し寄せ、住宅を新築する客がどんどん減っていった。「お客は資金はあるが新築には踏み切れない。それよりも今ある住宅をリフォームして住んだ方が良い」という時代の流れを見越して住宅リフォーム専門会社「匠の技沖縄」を二〇〇三年に設立した。琉球朝日放送(QAB)の人気番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」のスポンサーにもなり、同番組内でコマーシャルを流したところ「匠の技沖縄」の社名が沖縄本島内に一気に知れ渡った。住宅リフォーム会社としては先駆的な存在となり、「沖縄一のリフォーム会社を目指す」と目標を定めた社長は、「現在、業界での知名度はナンバーワン。どの会社よりも名前は売れている。間違いなく県内トップになれる」と目を輝かせた。
 好きな言葉は「努力」―。二十七歳で「土木二級」の資格を取得し、その後も「二級建築士」「宅地建物取引業主任者」「一級土木施工管理技士」「一級建築施工管理技士」「一級型枠施工技能士」「職業訓練指導員免許証」など勉強を続けて数多くの資格や免許を取得した。
 「故郷のために少しでも役に立ちたい」と、伊良部町社会福祉協議会や母校の佐良浜小・中学校などに寄付し、数多くの感謝状をもらった。
 故郷とのかかわりは深く「在沖伊良部町郷友会・前里添支部」の支部長や同郷友会の青年部長を任される。リーダー的存在として、同郷友会が主催する敬老会やバレーボール大会などの行事も支えてきた。
 「故郷宮古は、いつ帰っても温かく迎えてくれるところであってほしい。伊良部島を四季折々の花や木でいっぱいにし、観光産業で経済的にも潤う魅力あふれる島にしたい」と故郷に対して熱い思いを寄せた。

 伊計 高秋(いけい・たかあき)1955(昭和30)年11月18日生まれ。伊良部町前里添出身。現住所は沖縄市泡瀬。71年佐良浜中学校を卒業と同時に兄が営む「伊計ベット製作所」に住み込みで働き始める。その後、大工見習いを経て77年に「伊計組」を創業。93年に「秋建設」として法人化。2003年に「匠の技沖縄」を設立。「宅地建物取引業主任者」「一級土木施工管理技士」「一級建築施工管理技士」など数多くの資格を持つ。在沖伊良部町郷友会の前里添支部長、同青年部長なども務める。現在は伊良部町社会福祉協議会監査役も任されている。妻隆子さんとの間に1女。趣味はゴルフ。

                                                    (那覇支局・川満勇人記者)

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