続・花は島いろ

沖縄に「若い風」吹かす

SYMBA(シンバ)ネットワーク代表

安里 繁信(しげのぶ)さん (35歳)

(父が伊良部町出身)

 グループ企業12社を率いる経営トップ。物流の「あんしん」や広告代理店「宣伝」などを中心とするグループ各社は近年急成長を遂げ、1999年度に19億円だった売り上げは、2004年度は約7倍の130億円に達した。4年後は500億円を目指す。35歳の若さで県教育委員も務める。
 父・信秀さん(60)は伊良部町国仲出身。幼いころ父と一緒に郷友会の行事に行き、ミャークフツ(宮古方言)の中で育った。「自分はナーハンチュー(那覇の人)ではなく、ミャークンチュー。自分には宮古の気質が流れている」と心の古里宮古を誇りにする。
 88年に県立大平高校を卒業。89年上京しイベント企画会社を設立。90年帰沖し、父の経営する安信輸送サービスに入社した。当時の売り上げは3億円。持ち前の行動力で営業を強化、異業種にも参入し99年には19億円に伸ばした。「父と激論しながら、日々の経営にあたった。しかし、最終的に1番の理解者は父だった」と話す。
 23歳のころ、元副知事の座喜味彪好さんと出会い、経営哲学を身に付けた。「目先の損得でなく、王道を歩めと教わった。先生との出会いがなければ、今の自分はなかった」と感謝する。現在も座喜味さんを塾長に月1回、明日の沖縄を語る「風雲塾」を開いている。
 「人と世のために活きる存在でありたい」。この精神を企業理念とする同グループは、周囲の後押しにより急成長し現在、グループ企業は12社に達した。業種は輸送サービス、広告、自動車販売、経営コンサルティング、不動産、食品加工、芸能プロダクションと幅広い。
 海外進出も果たし、中国では寝装寝具を製造する合弁会社の工場が稼働する。従業員の数は約400人。敷地は東京ドームの約4倍分もあるという。
 昨年はこれらの企業を統合した「SYMBA(信羽)ネットーワーク」を設立し、代表に就任した。「会社の成長は、支えてくださるお客様のおかげ。職員も成長した。エース、4番打者はたくさんいる。自分は補欠キャプテンのような存在だよ」と笑顔で話す。
 04年7月、「民間からの新風」を期待され、県教育委員に抜擢された。子供たちを見る目は優しく「今の子供たちは宮里藍さんらの活躍で、自分も日本一になれると信じている」と、元気ぶりを賞賛。今後に向け、そういう日本一を目指す子供たちに合う水準の教育の必要性を強調する。一方、「(学校現場は)個性を指導することも大事だが、それ以前にモラルの指導が大事」とも話す。
 宮古の子供たちには「大きい魚は大きい海でしか育たない、という言葉がある。今に満足せず大きい海に飛び出し、島に恩返しできる人に育ってほしい」と、エールを送る。
 宮古地区では今年の10月、合併新市「宮古島市」が誕生する。歴史の節目にあたり「マスタープランを作る良いチャンス。宮古の特徴を生かし『宮古の顔』をつくってほしい。アララガマスピリッツで、宮古から沖縄を変えるくらい成長してほしい」と、宮古の発展を願う。

 安里繁信(あさと・しげのぶ) 1969(昭和44)年10月17日生まれ。88年県立大平高校卒業。89年東京都でイベント企画会社設立。90年安信輸送サービス入社。96年あんしんフォーアイランド(現社名・宣伝)社長就任。2003年安信輸送サービス会長就任。04年「あんしん」社長就任。同年グループ企業を統合したシンバネットワークを設立し、代表に就任する。宮古との結び付きも深く、伊良部町の03年成人式と、04年の伊良部高校創立20周年式典で講演する。趣味は空手とマリンレジャー。妻志乃さんと長男信弦君の3人家族。

                                                      (那覇支局・新城孝夫記者)

<<<続・花は島色ページにもどる