続・花は島いろ

奉仕活動で多くの出会い

障害者スポーツ指導者
沖縄ウエル・スポーツ専門学校講師

下地 隆之(たかゆき) さん(22歳)
 
(下地町与那覇出身)

 下地隆之さんは水曜日の夕方、車いすサッカーチーム「アビリティーズ」の練習に参加している。チームメートは昨年9月まで勤めていた浦添市社会福祉協議会で出会った人たち。「障害者スポーツにかかわることで、多くの人と触れ合う機会が生まれた」と、出会いに感謝する。
 体を動かすのが好き。昨年10月から沖縄ウエル・スポーツ専門学校スポーツワーク科の講師に。今年四月の開校に向けた準備に忙しい。その傍ら、「障害者スポーツ指導者」の資格を生かしボランティア活動にも精を出す。
 高校生のころまでは「もし自分が事故にでも遭って障害を持ってしまったら、スポーツもできない、生きていけないだろう」と思っていた。しかし、スポーツ関係の専門学校に進み、さまざまな活動に参加。車いすで真剣に競技に取り組む人、懸命にリハビリに励む人の姿に感銘を受けた。「自分にも何か手助けができれば」との思いを抱くようになった。
 浦添市社協ではデイサービスで高齢者向けの運動指導を担当した。半年たって、同社協の体育施設「サン・アビリティーズうらそえ」に移り、仕事で障害者の運動指導に携わることになった。
 障害者への運動指導は、健常者へのそれとは異なる。リハビリの意味合いが強く、個々の障害に合わせてプログラムをつくる。当初は戸惑うことばかり。どうしたら楽しく体を動かしてもらえるか悩んだ。努力は実り、次第に「ありがとう」と喜びの反応が返ってくるようになった。「やって良かった」。充実感で満たされた。
 専門学校時代の恩師に、新学校設立のため講師の誘いを受けた。教壇に立つのはもちろん初めてだが、「不安もあるが、楽しみの方が大きい」。まだ22歳ながら勉強熱心さが伝わる落ち着いた口ぶりだ。障害者や高齢者の運動、水中運動など実技指導が主になる。
 カリキュラムによる指導だけでなく、学生たちも奉仕活動に引きずり込みたい、と考えている。「自分自身そうだったが、実際にやってみないと分からないことが多い」と話す。将来は、宮古で障害者の運動指導をやってみたい気持ちも。「学校で宮古からの学生も育てて、宮古に恩返ししたい」と夢は広がる。

 下地 隆之(しもじ・たかゆき) 1981(昭和56)年1月12日生まれ。下地町与那覇出身。下地小、中、宮古農林高校、国際リゾートスポーツ専門学校を卒業。02年10月、浦添市社会福祉協議会に就職。03年10月、沖縄ウエル・スポーツ専門学校スポーツワーク科講師に。障害者スポーツ指導者(初級スポーツ指導員)、エアロビクス・インストラクター、水中運動指導士、テーピングトレーナー、幼児体育指導者2級など資格多数。

                                                          
(砂川拓也記者)

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