続・花は島いろ

子らの目線を故郷で実感

くまごろう主宰

本村 義雄 さん(73歳)

0524hana.tif (150450 バイト) 「くまごろう」=本村義雄さん(73)は、列島五周目の巡回中。あい色の軽ワゴン車に紙芝居や炊事用具を積んで妻・淑子さん(71)との二人旅だ。1985年に始めた公演は5955カ所に及ぶ。13年前は、平良市文化協会長だった伊志嶺亮さん宅に泊めてもらい、平良市の「みつば幼稚園」などを回った。生まれた島にも行った。
 多良間にいたころ、父・泰亮さんは「谷茶前」踊りの名手といわれた。本村さんも「八月踊り」で「福禄寿」の袖持ちをした。記憶をたどり、八重山遠見台遺跡に行った。途方もなく大きく見えた台も半世紀後に訪れた目には、小さな石積みの台でしかなかった。
 「この時、思いましたね。大人になると変哲もないものが、幼い子には、すごいものに思えている。私の紙芝居は新聞紙大だが、子どもには大きなスクリーンのように見えているのではないかとか、ね」。改めて子どもの目の高さを思った。
 島には電気が引かれていた。飛行場もあった。馬追いでキビを搾った製糖工場は、機械化されていた。多良間が「竜宮」に見えた。浦島伝説が本当の話に思えた。小学校校舎は当時のまま。校庭のガジュマルも残っていた。変わったものも、変わらないものも。すべてを含めて、それが自分の育った島だった。
 八幡市(現・北九州市)で小学校に3年間勤めた。校区で「童話口演」を続けていたが「より多くの子どもを喜ばせてください」と市長に頼まれ、市役所に移った。卒業して54年。子どもとのかかわりが続く。
 本村さんは目標を掲げている。@ナマの楽しさを子どもにA幼児教育の現場で、先生たちと交流して刺激し合うB高齢夫婦としての生きがいC北九州市への恩返し―の四点だ。
 きょうも「くまごろう号」は、町や村にふらりと立ち寄り、幼い子の目を輝かせるだろう。今年は、本州と北海道を回り、帰りは10月末になる。来年は沖縄・九州・四国を巡回する予定だ。「そのためにも元気でいたい」と、「くまごろう」さんは思う。 

 本村 義雄(もとむら・よしお) 1930(昭和5)年1月24日生まれ。多良間小学校に5年在籍。父の八幡製鉄(当時)入社に伴い移住。小倉師範学校卒業。北九州市立子どもの館顧問ほか。西日本文化賞など受賞。著書に『子ども会運営の手引き』など。孫6人。



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