子供俳句年間賞/選・山田 弘子 2006/03/29掲載

 
年間賞選考を終えて/選者・山田弘子
 昨年十月、「子ども俳句欄」が誕生し、半年が過ぎました。その間、十月、十二月、二月と三回の入賞者が決まりましたが、その中から年間賞三人を選ぶというのはとても大変でした。三回の特選句はどれもこれも素晴らしい作品ばかりだからです。そんな中から、特に印象深かった句を年間賞として選びました。どの句もしっかりと自分の五感を働かせて自然を見、自分の言葉で表現しています。そして、なによりも澄み切った気持ちが感じられました。

  ★〜★〜★〜★〜★〜★〜★〜★〜★〜★〜★〜★

平良中学校三年/大城 啓
台風の目に入ったか今日の母
 毎年台風がたびたびやってくる宮古島です。啓君は経験を通して台風というものをよく知っています。「台風の目」に入るとピタリと風が止まって、静かになります。日ごろ何かと口うるさく注意するお母さんが、きょうは朝からいやに静かだなあ、まるで台風の目に入ったようだ、こんな風に感じたことを一句にしました。ユーモアもあり、お母さんへの親しみも伝わってきます。

伊良部中学校一年/平良 夏希
キビ刈りや顔つき変わる祖父の顔
 日ごろ柔和で孫には甘いおじいちゃんに違いありません。しかし甘蔗刈りが始まると、その顔つきが変わったことを夏希さんは気が付いたのですね。家族の一員として、おじいちゃんの表情の変化を感じ取ったのです。甘蔗刈りを通し、家族というものも、労働といういうこともしっかりと見つめています。

下地小学校三年/東風平 康貴
ヒーターのほこりのこげるにおいだよ
 この句は観察がとても細やかです、冬になってヒーターを点火したとき、ちょっとこげくさい匂いがしたのです。こんなちょっとしたことに気がついたのはおてがらです。俳句はしっかりと目や耳や鼻や口を働かせると、いろいろと気づくことがいっぱいです。これからも自分のまわりをしっかりと観察し、発見をいたしましょう。すばらしい俳句にであうことができるのはとても幸せです。受賞のみなさん、ほんとうにおめでとう。

<<<俳句ページにもどる