子供俳句no.2/選・山田 弘子 2005/12/20掲載

 今回(十一月末締め切り分)は小学生から高校生まで四百七十五句の応募がありました。前回より三十五句増えました。たくさんの応募ありがとうございました。その中から特選七句、入選六十九句を紹介します。選と講評は「円虹」主宰の山田弘子氏です。
(次回の投句締め切りは年明けの一月末です)


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講評
 第一回目の俳句が掲載された新聞が送られてきて、びっくりしました。見開き二ページいっぱいにみなさんの俳句が出ていましたね。こんな新聞は日本中どこにもないと思いますよ。それだけ「宮古毎日新聞」がみなさんの俳句をとても大切にかんがえておられることがよく分かりますね。今回もすばらしい俳句と出会えました。ひとりひとりしっかり自分のまわりを見、感じたことをすなおに表現した作品が多かったと思います。(評・山田弘子)

<特 選>
南小1年・たいら りょう
さんぽしておばあとふたりあきさがし
 あんなにあつかったのに、いつのまには海からふいてくる風邪がすずしくかんじられるようになったのですね。「ばあちゃん、ちょっと海までさんぽしようよ」と、さそったのはりょう君かな。道ばたの草たちはちいさな実をつけていましたか。さとうきびのぎんいろのほがさやさやと音をたてていたかしら。そらのくももすっかりあき。「おばあとふたりあきさがし」なんてすばらしいね。

平良第一小2年・むらよし さやか
ふしぎだなちきゅうがまわってふゆがくる
 いろいろなことにぎもんを持つことはすばらしいことです。どうしてきせつのへんかがうまれるのかなあと、さやかさんはかんじたのです。ちきゅうはまいにちかいてんしながら、太ようのまわりをまわっています。太ようからとおくなると冬、近づくと夏になるのですね。うちゅうのふしぎをかんがえ、しぜんのすがたに心をよせることからはいくが生まれます。

平良第一小2年・かわみつ あみ
あきの日にもみじのはたちおきがえだ
 なつのあいだあおあおとしていた木のはが、あきになると赤やきいろにへんしんしていきます。あみさんはそれを「もみじのはたちがあきのようふくにきがえたのだ」とかんじたのです。たのしいですね。もみじのはたちにこころがあるようによまれています。やがて冬になると、あかやきいろのようふくをすっかりぬいでしまって、まるはだかになり、はるのめぶきをまつのです。

下地小3年・東風平 康貴
ヒーターのほこりのこげるにおいだよ
 寒くなって取り出した暖房きぐを初めて使ったとき、ちょっとへんなにおいがしたのに気がつきました。それをしまっている間にたまったほこりがこげるにおいだったのです。先生はびっくりしました。こんなちょっとしたことに気がついて、それをはいくによむとは。なにげなくすごしていると気がつかいないことがいったいです。これからもしっかりと目も耳も鼻もはたらかせてください。

平良中2年・下地 麻依
ミーニシが庭の木の葉を巻き上げる
 十月に入り、ミーニシ(新北風)が吹き始めると沖縄地方に本格的な秋がやってきます。こうした特有の季節のことばもどんどん使って俳句を作ってください。庭の木の葉をさらうようにしてミーニシが吹いたことに麻依さんは季節の変化をしっかりととらえています。このころになると、海を越えてサシバがやってくるのですね。

平良中2年・米村 翔吾
蟻の道そっといも虫うかべてる
 蟻はぞろぞろと列を作って移動します。これを蟻の道といいます。時には大きなえものを運ぶこともあります。翔吾君が見たのは大きないも虫を運んでいる蟻の列です。蟻が力を合わせ、自分たちの千倍もありそうないも虫を運んでいる様子にびっくりしながら見ているのでしょう。「うかべてる」は上手いなあ。あんなに大きな体のいも虫が宙に浮いているように運ばれていきます。

翔南高2年・宮国 広信
クリスマスひとりぼっちの僕がいる
 高校生にもなると、なかな複雑な心を俳句に詠めるんだな、と感心しました。クリスマスには友達同士で賑やかにすごしたり、プレゼントを交換したりする人が多いのですが、広信君はあまり賑やかなことを好まないのか、それとも熱心に勉強を頑張っているのか。「ひとりぼっちの僕がいる」というのは、しっかりと自分を客観的に見ているもう一人の自分が描けています。

ワンポイントアドバイス
 五・七・五という俳句のリズムは、「うれしいな」「たのしいな」「かなしいな」「さびしいな」といった、きもちを表すことばを下の五にもっていきたいところです。でもきもちをそのままあらわすことばは使わないようにしてください。こうしたことばを使わずにうれしさやかなしみをあらわすことがとても大切です。さすがにそんな俳句はほとんどありませんでした。おみごとです。


<入 選>
城辺小1年・しもじ すずか
ふゆのひにじめんのくさがゆれてるよ

城辺小1年・ますだ だいすけ
ふゆのひはそとにでるとはなみずでる

城辺小1年・かきはな しんご
ふゆのうみなみがあらいよたいへんだ

城辺小1年・とくやま そうた
みつけたよギザギザもようのトカゲくん

城辺小1年・たかえす まりあ
きょうはカン字カルタでかちたいね

城辺小1年・へんざん ももか
くさむらでこおろぎくんがないている

城辺小1年・かきはな しんご
みつけたよとんでるすずめすをつくる

城辺小1年・へんざん ももか
さむいかぜみんなはかぜにまけないぞ

南小1年・たいら りょう
きっとゆきこのかきごおりみたいかな

鏡原小1年・くりま あや
雨の日ににょろにょろあるくかたつむり

鏡原小1年・みやかわ ゆき
おつきさまくもといっしょにかくれんぼ

鏡原小2年・宮国 大介
十月は宮古島市のたんじょうび

鏡原小2年・よなは あかり
運動会みんなげんきにがんばるぞ

鏡原小2年・伊集 盛久
パーントゥにどろをつけられけんこうだ

鏡原小2年・仲間 瀬里奈
運動会はずかしいけどがんばるぞ

鏡原小2年・すなかわ さやか
シーサーでむかしとつながる十五夜に

下地小2年・くりま りゅういち
虫の声きこえないんださむいとき

平良第一小2年・砂川  光
あきふかき木のはさらさらおどってる

平良第一小2年・根間 みき
クリスマスみんなおやすみゆめの中
 
城辺小3年・具志堅 夏美
さんたさんあまぐつはいてどこいくの

久松小3年・砂川 真凛愛
ススキの穂夜の散歩にいいながめ

下地小3年・上地 野乃香
ほう作のとうがんにがうりかわいいな

下地小3年・東風平  億
北風にふかれて走るじきゅう走

下地小3年・下地  幹成
北風がわが家のおちばさそってく

下地小3年・砂川 ちなつ
クリスマスツリーかざるわらい顔

城辺小4年・大森  克紀
きたかぜはスピードあげてやってくる

城辺小6年・垣花 利紀也
ある夜にサンタを見たよ長いヒゲ

城辺小6年・糸洲 真希子
いなかまちよるのみちにはふゆのほし

城辺小6年・砂川  翔
秋の空なげめていたら日が暮れた

城辺小6年・平良  絵里
晴れた空冷たい風がふいてきた

城辺小6年・砂川  翔
クリスマスプレゼントより友達だ

城辺小6年・金城  光
サンタはねいつも子供をよろこばす

城辺小6年・仲間  龍
見上げると青く澄んでたふゆのそら

城辺小6年・砂川  琴野
トナカイが星の夜空をかけめぐる

平良中1年・上地 佑
秋桜に水をあげれば虹となる

平良中1年・平良 優也
とんぼとぶ夕焼けの中夕日まで

伊良部中1年・国仲 未来
秋の夜にふと思い出す友の顔

伊良部中1年・島袋なつみ
冬の海せつなく聞こえる波の音

上野中1年・宮国 貴樹
ブーゲンが迎えてくれる夏の朝

上野中1年・砂川 清哉
木々たちが深まる秋を知らせるよ

上野中1年・宮国 優美
青空に向かって笑うハイビスカス

上野中1年・平良 久美子
満開のブーゲンと語る秋の朝

平良中2年・ハードマン 七菜
しゃかしゃかとあたり一面枯葉だけ

平良中2年・与那城 知佳
北風に背中丸めて歩いてる

平良中2年・饒平名 護
秋風に吹かれてなびくさとうきび

平良中2年・仲宗根 綾
会いたくて素足で飛び出す冬の朝

平良中2年・伊地 志織
待ちどおしいテストを終えてクリスマス

平良中2年・仲程 満希子
秋風にごま塩パラリさしばかな

上野中2年・平良 啓一郎
秋の空ブーゲンビレア咲いている

上野中2年・平良 夏美
上野中ブーゲンビレアで美しく

上野中2年・廣田 晴夏
ブーゲンビレア月光あびて輝けり

上野中2年・上原 壮太郎
ブーゲンや月の下にて輝けり
 
上野中2年・与那原 大
ブーゲンがティダに向かって笑ってる

伊良部中2年・嘉 未来人
家路へと足急がせる北の風

平良中3年・新里 直人
秋の空水平線まで澄みわたる

伊良部中3年・平良 彩矢香
陽が沈みサシバの群れも帰ってく

伊良部中3年・知花 梨沙樹
冬空やたき火をかこむ子供達

伊良部中3年・津嘉山 翔
冬の日にキビ刈りにぎわう島人達

上野中3年・宮国 大地
里帰りブーゲンビレアの匂いする

上野中3年・新里 彩華
風の中ブーゲンビレア踊ってる

上野中3年・根間 みさき
ブーゲンの色とおんなじ頬の色

上野中3年・高江洲 彩
ドンと来いブーゲンビレアの花吹雪

上野中3年・下地 和歌奈
ブーゲンは恋をしている乙女のよう

翔南高1年・上地 美恵子
キビ畑ざわざわ音の子守唄

翔南高1年・佐久田 美月
秋風が落ち葉誘惑ヒラヒラと

翔南高1年・宮国 智秋
だんだんと寒くなったと思う朝

翔南高2年・下地  司
夕暮れの涼しい風に光る空

翔南高3年・伊計 奈津希
見上げればサシバ飛び交う青い空

翔南高3年・田村 真理奈
銀杏の香りがそよぐ交差点

 山田 弘子(やまだ・ひろこ) 俳人。兵庫県出身。高浜虚子らに師事。ホトトギス同人、第二回日本伝統俳句協会賞。95年、俳句月刊誌「円虹」創刊・主宰。NHK教育テレビ「俳壇」の前選者。

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