昼の海と夜の海、潮の干満から漁場まですべてを把握し、タコ、イラブチャー、イラブー(海ヘビ)など、あらゆる魚を捕まえる名手だった良公さん。
現在、三線の皮には国外産ニシキヘビを使うが、半世紀前は良公さんが捕るイラブーでも作っていたという。
皮をはいで裏返し、直径十aくらいになるまで空気を入れる。細長く風船のように膨らんだイラブーの皮を軒下につるし、数日後、立派な蛇皮が出来上がる。これを求めに三線業者が来ることと、潜り漁の腕が良公さんの自慢だった。
「イラブーは陸地でも一カ月以上生き続けるから、つぼから脱走した時は家族総出で畑中を探し回りました」と、長男の博延さんも当時の思い出を語る。
太陽が来間島に傾くころ、良公さんは農具の手入れをして、フミさんはご飯を作って、キビ刈りから帰る息子たちを待つ。
子ども三人、孫九人、ひ孫十五人。
(坂本慧) |