毎朝、清一さんは自転車で、妻のシゲ子さん(77)は手押し車で、家から少し離れた灯台近くの畑へ出掛け、太陽がちょうど真上に昇る正午まで汗を流す。
「野菜はたくさん作ってもしょうがない。食べられる分だけ少しずつ大切に」。二人はイモ、ダイコン、ニンニク、植えたばかりのニンジンに愛情を注ぐ。
若いころから島内のカツオ工場で働いていたが、長女の高校進学を機に十数年間、本土へ出稼ぎに出た。「子どもたち全員を高校に進学させ、将来、好きな道に進ませたかったから」と、無我夢中で働いた日々に胸を張る。
清一さんの趣味は新聞を読むこと。「本土に住んでいたときも購読していたよ」と話すほど、宮古毎日新聞の大ファンだ。
夜九時には布団に入り、翌朝六時から指定席の縁側で大好きな新聞を広げる。「身内や友人を新聞で探すことが楽しみだったけど、まずは自分が一番乗りで」と快活に笑った。
子ども五人、孫七人。
(坂本慧) |