若いころから日記をつけるのが習慣。段ボール箱にぎっしりと収められた大学ノートには、どれもその日の出来事や、社会の動き、心に浮かんだ詩などが書きつづられている。
学問に対する思い入れも強く、娘の幸子さんは「人一倍の向上心で、分数もわり算も、日本の歴史も独学で学んだ人」と感心する。
趣味は歌うこと。演歌や流行歌、学校唱歌や民謡と、すべてノートに書き写す。「でも一番好きな歌手は美空ひばりよ」とにっこり。
カマドさんが正月のエーグ(あやぐ)を口ずさむ。「祝い事のたびに歌い合い、長老たちが酒を酌み交わしていた姿が目に浮かぶ」のだとか。
伝統文化や風習が少しずつ形を変えていく現在「親子のきずなは今もしっかりと根付いているよ」と話すカマドさん。時代が変わってもエーグの言葉は、カマドさんの心の中でしっかりと生きている。
子ども二人、孫八人、ひ孫七人。
(坂本慧) |