祖母から、代々受け継がれてきた苧麻績(う)み。部屋には糸車の奏でる心地よい音が響く。
祖母の手ほどきを受け、七歳で初めて苧麻を績む。それから約七十年。「視力も体力も昔のようにはいかないよ」と笑うが、糸車を回す手は軽やかだ。近年は後継者育成事業にも積極的に参加し、年に一度は自宅にて苧麻績みを教える良き指導者だ。
起床は毎朝五時半。それから畑へ向かう。「自分の仕事はキビ畑の草取りだから」とトヨさんは、夏植えのサトウキビの成長を見守っている。
趣味は舞踊。戦争直後の二十代で琉舞を習い、追って日舞も始めた。現在でも老人会の集まりなどでは、得意の日舞を披露する。
自宅の裏の畑で栽培するレモングラスで作ったハーブティーが元気の秘訣(ひけつ)。週に何度も遊びに来る孫たちのために、冷蔵庫には常時トヨさん特製のお茶が用意されている。
子ども五人、孫十六人、ひ孫十二人。
(坂本慧) |