鮮やかな手つきで苧麻(ちょま)の糸を績む高江洲さんは、二十代のころから苧麻糸を績(う)み続けてきた。若いころに比べると視力も落ちたが熟練の技は一級品。「六十年も続けてきた作業だから、指の感覚だけで分かるんだよ」と話す。
若いころは、母親が績んだ苧麻糸を使って、高はたで宮古上布を織った。幼いときから生活の一部であった上布の存在。その技術を身に付けたいと、平良に出て仕事をしながら上布の研修を受けた。「あのころは母親と二人で作りあげていた。母がブーンミ(糸績み)をしているときは仕事に就いて、糸が出来上がったらそれを織っていた」と目を細める。
現在でも「趣味はブーンミ。時間さえあればこればっかり」。母から子へと受け継がれた伝統は、長い年月を経ても変わることなく息づいている。
子供七人、孫十七人、ひ孫三人。
(具志堅千恵子記者) |