  「ラブレターを書くのが一番上手だよ」と朗らかに笑う伊礼さん。週に一度のデイサービスで仲間との会話や遊びを楽しみ、感謝の気持ちを文字にして手紙を送るのが趣味だ。二十歳のときに日本軍入隊。中国満州に行く輸送船の中で聞いた音楽が今でも忘れられないという。「宮古を離れる寂しさで海をずっと眺めていた。あまりにも寂しいものだから、ラジオから流れてくる曲を覚えた」と口ずさむ。 宮古に戻ってきたのは二十七歳のころ。食べるものも無く、生活は決して楽ではなかった。「どうしてこんなに苦労しなければならないのか」と自問自答することもあった。「でも、今なら分かる。青春は確かに苦労したけど、それが私の人生だから仕方が無かったんだよ」と静かに語る。 現在は、第二の青春をおう歌する毎日。「冗談を交わして、笑って過ごす。僕は幸せだ」 子供六人、孫九人、ひ孫四人。 （具志堅千恵子記者） |