毎日が春の訪れ
前田 カマドさん (91歳)
1914(大正3)年1月10日生まれ
(城辺町吉野)
二十二歳のころ、結婚とほぼ同時に夫の盛栄さんが出征し、夫不在のまま嫁いで五年、無事の帰還を信じて待ち続けた。夫から届いた手紙の末尾には流行歌「新妻鏡」の歌詞が添えてあり、不安におそわれたときには口ずさんで自らを励ましたという。「好きで選んだ人だから頑張って待っていたよ」と語る顔には、人生の荒波を乗り越えたバイタリティーと乙女のような柔らかさを併せ持つ独特の女性らしさが漂う。 二人でドライブに出掛けるおしどり夫婦だったが、昨年、夫が他界。結婚当時の「待ち続けた五年間」がよみがえり、さまざまな思い出が胸に迫ったという。 現在はデイサービスの楽しさを満喫。「若い時は二度と来ないというが私には今、春が訪れているよ。こんな日々が来たのも夫が守ってくれているからでしょうね」と穏やかな笑顔で話した。 子供三人、孫八人、ひ孫二人。 (砂川智江記者) |