「一歩一歩着実に」
新里 金三(きんぞう)さん (83歳)
1921(大正10)年12月1日生まれ
(上野村新里)
18歳のころ、大柄の体格を買われて現在の上野小学校の校舎建築工事に雇われたという。現場で技術を学び、大工としての腕を磨いてあちこちの家屋建築に携わった。宮古に水道が導入されたころは、水道タンクを造って集落単位で設置する仕事にも出掛け、多くの人に喜ばれたという。 30歳で分家。費用を安く上げるために、当時すでに時代遅れになりつつあったかやぶきの家を建てた。新居を見たときの、息子の屈託のない笑い声は今でも忘れられないという。その後ちょうど10年目にスラブ家を新築したときは、満足感があった。「着実に一歩一歩、の堅実派」と自らを分析。「だからこそ、今の穏やかな日々があるのだろう」と優しい笑顔を見せる。 「子供たちに対して、堅実であるよう求めたことはない。でも背中を見ているから」。楽しそうな表情に、歩んだ道への自信がのぞく。 子供6人、孫21人、ひ孫10人。 (砂川智江記者) |