「なぜだか分からないけど今まで病気したことはないねぇ。今も病院とは無縁だよ。苧麻を紡いでいるのがいいのかね」と、楽しそうに話す下地さん。
娘時代は宮古上布の織り手として朝から晩まで機織りに励んだ。
「昔は乗り物がないから城辺まで歩いて苧麻を買いに行って、完成したらまた歩いて平良の商店まで売りに行った。お金は全部、お父さんとお母さんに渡してね、生活費になったよ」と、一家の貴重な働き手としての当時の生活を振り返る。それでも、現在も好んで苧麻を紡ぐ様子や「機さえあれば、今でも上布を織りたい」という積極的な言葉に、自らの仕事に誇りを持って取り組んでいた下地さんの姿が浮かぶ。
近ごろは、定期的に通うデイサービスで、妹のセツさんや友人たちとのんびり過ごすのが一番の楽しみ。明るい人柄で周りに慕われる人気者だ。子供2人、孫4人。
(文・写真 砂川智江) |