今が一番幸せ 前里 幸子 さん (89歳) 1915(大正4)年2月3日生まれ (城辺町字比嘉)
若いころはキビ農家として働き、たくさんの苦労を重ねてきた前里さん。農業を退いた現在は、ゆったりと庭の手入れを楽しむ。同じ土と向き合う作業でも、当時と今とでは心の余裕がまるで違う。「庭の草木が花をつけたときは、何とも言えない喜びが沸くよ」と、優しい表情をさらに緩める。 3人の子供はすべて女の子だった。娘たちは大学を卒業後、それぞれの道を築いているという。当時は「女の子に学業は後回し、という意見も根強かったが、私はそう思わなかった。(女性の)自分が大変な思いをして農業をしたから、娘たちにはそんな思いをさせたくなかった」と、強い意思を貫いた子育て時代を振り返る。「思うように成功している。今が一番幸せです」と微笑む前里さん。『幸子』の名前にふわさしい、満ち足りた笑顔を見せた。 子供3人、孫6人。 (文・写真 砂川智江)