毎朝、届いたばかりの新聞を読み、デイサービスの日には髪と服を整えて出掛ける黒島さん。長女の初枝さんは「幾つになっても『女』を捨てない気概と、人への配慮を忘れない気持ちの美しさはぜひ見習いたい」と話す。
70歳で食道ガンを患った。手術は成功したが、失語の心配もあったため油断は許されず、4人の子どもたちが時間差で訪れては日々看病を重ねたという。「家族のおかげ」と、しっかりした声で話す黒島さん。顔には柔和な笑みが広がる。
野菜農家だった黒島さんは現在、キビが中心だった夫・五郎さんに野菜栽培の手ほどきをしているという。にんじんの間引きやトマトの剪定、そして収穫したズマミ(落花生)を茹でる際の塩加減や茹で時間。「やっぱり私じゃないとだめかねぇ。またやるよ」とにっこり。いつも前向きな姿勢と、気配り上手の優しさが、心豊かな生活につながっている。
子供4人、孫8人、ひ孫5人。
(文・写真 砂川智江)
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