日常用品も文化財

川平 眞吉(かびら しんきち)さん (88歳)

 
1914(大正3)年11月 5日生まれ
 (城辺町砂川)

ganzurogo.tif (147800 バイト) 玄関を入ると、古いアンディラ(編み袋)とウムグイ(くつわ)が壁に掛けられている。生活の跡が染み込んだ、川平さん手作りの日常用品。シュロクバの繊維を編んだアンディラには、海で釣果を入れた。「日々使い込んでも長持ちし、百年経っても破れない。今じゃ文化財だよ」。自慢顔にあっけらかんとした笑みを浮かべ「おそろしく食べにくい、小さな魚ばかり捕れたけどね」とおどける。
 農耕馬が農業を支えていた頃、川平さんは畑仕事の傍ら、馬の前掛けを作って方々の農家に売った。「注文に間に合わないくらい忙しい時もあったよ。今は耕運機やトラクターが馬以上に働くけどね」と農業の機械化や生活の変容をなぞる。
 農業を退いた今は、歌と三線を楽しむ日々。「流行歌が大好き」と、手書きの歌詞ノートを広げ、陽気な歌声を響かせた。
 

 (文・写真 砂川智江)
 

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