整然と片付けられた部屋やきれいな花を咲かせる庭が、大里さんの几帳面な生活ぶりを物語る。「昔に比べれば暇だけど、仕事は探してやるものさぁ。掃除をして、庭を耕して草を刈り、野菜も植える。自分のことは自分でするよ」と悠々自適に日々を楽しむ。
「ガビョウ生まり(生まれつき痩せっぽち)だけど、病気はしないねぇ。生徒の頃は100メートルの選手で、運動会ではよく褒美をもらったよ」とにっこり。
若い頃は、宮古でも米や麦が盛んに栽培された時代。日の出前から夜更けまで、ひたすら作業に勤しんだ。「(米の)収穫期には月明かりで臼をついて、よくけがをしたよ。手にたくさんマメをつくってね。だからほら、今でもこんなに硬い手をしているさぁ」と長い指をピンと伸ばし、歴史を刻んだ掌を広げる。田んぼはなくなっても、働き者の両手はまだまだ健在だ。
子供3人、孫3人。
(文・写真 砂川智江)
|