嫁いだ娘たちが「昔からとにかく働き者のお母さん」と口を揃えるハルさん。5人の子どもたちの未来を預かる母親として、一家の健康を支える主婦として、いつも忙しく働いてきた。
畑では、粟や麦、イモなど貴重な穀類を栽培し、家ではブーをうみ、「まち」へ出掛けては焚き木の束や編んだ綱を売ったという。
その一方で、3度の食事に欠かせない味噌を手作り。娘たちも「いつ作っているのか全然分からなかった」と漏らすほど、多忙さの合間で家族の力の源を作り続けた。「今まで味噌を買ったことはないよ。買うのは豆と麦と塩だけ」。夫婦2人になった今も、年季の入った4つの味噌瓶が現役で役割を果たし、ハルさんの熟練の手のひらに発酵した味噌がよく馴染む。家族の健康と幸せをつくってきた手のひらだ。
子供5人、孫18人、ひ孫11人。
(文・写真、砂川智江)
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