「若い頃は機織りをしたり、イモやキビを
植えたりしてね。うん、忙しかったよ」。よく話し、よく笑う。苦労話の語り口は淡々とさりげなく、大らかな人柄がにじみ出る。
「小学6年生の時に、初めて上布を織り上げてね。今もアタラカー、アタラカ(大切に大切に)と置いてあるよ」。母親の見様見真似で織ったという、縞が施された涼感たっぷりの織物。処女作だけあって失敗した箇所もあるが、原点を見つめる眼差しは、愛着心にあふれている。
姑が生前に植栽したガジュマルでは、染料を作り上布を染めた。「アタラカと今もそのまま庭にあるよ」。
70代の頃は、グラウンドゴルフや老人学級に幼いひ孫の手をひいて出掛けたという。目下の楽しみは米寿の祝賀だ。孫やひ孫に囲まれて、主役の席に座る日も近い。
子供1人、孫5人、ひ孫12人。
(文・写真、砂川智江)
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