若者独特のアレンジで熱演
伝統・創作共に観衆魅了 |
「若者が主役」−。伝統、創作両部門合わせて二十七団体が出演した第五回クイチャーフェスティバルは五日夜、大盛況のうちに幕を閉じた。今年も創作部門に対する観衆の注目度は高く、若者たちがアレンジしたクイチャーの演舞は会場の拍手喝采を誘い、クイチャーという伝統文化の広がりを感じさせた。創作部門のみで審査されるパニパニ賞は「みつばアンジェラス」、プカラス賞は「上野小六年SHINOBI〜忍〜」、アパラギ賞は「北小ダンス部SOUL BEANS」がそれぞれ受賞。また特設の市長賞は「新羅」が受賞した。城辺友利の友利郷土芸能保存会を加えた五団体を紹介する。 |
市長賞 新羅/幻想的な舞
披露
市長賞を受賞した「新羅」=5日、カママ嶺公園多目的広場
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幻想的なクイチャーを披露した新羅(垣花清文代表)が、大会五周年を記念して設けられた「市長賞」を受賞した。
新羅はクイチャーフェスティバルの常連。ダイナミックな動きでこれまでプカラス賞など受賞していたが、今回は「無」をテーマにゆっくりとした動きで新しいクイチャーの形を表現した。
演舞では、たいまつの明かりの下、女性らがクイチャーを踊る昔の風景をイメージしたという。男性がたいまつを持ち、女性らが優雅なクイチャーを踊った。また、楽曲には下地暁さんの「あぁぐ」を今回のためだけに編曲し、登場場面では照明も暗くするなど演出にも凝った。
全身を使って元気な踊りを披露する団体が多い中、ひときわ注目を集め、観客は息をのんで演舞を見詰めていた。
新羅のメンバーは十五歳から五十七歳までと幅広い年齢層で構成。大会のために二カ月前から練習に汗を流した。垣花代表は「市長賞の存在を知らなかったので、びっくりした。観客に良いものを見せたいという一心で頑張って練習してきた。努力が報われてうれしい」とほおを緩ませた。
表彰式後には、振り付けを担当した前里昌吾さんを胴上げするなどして、全員で喜びを爆発させた。
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プカラス賞 上野小6年SHINOBI〜忍〜/息ぴったり1000点満点
賞状を手に笑顔の上野小6年SHINOBI〜忍〜のメンバーら=5日、カママ嶺公園多目的広場 |
プカラス賞に輝いたのは上野小六年SHINOBI〜忍〜の四十人。忍者を思わせる黒の衣装で、さっそうと登場すると、息ぴったりの演舞で観客を魅了。最後のポーズが決まると、会場からは大きな拍手と指笛が沸き起こった。下地蘭さんは「きょうの出来は千点満点!小学校最後の学年で良い思い出になった」と満面の笑みだった。
メンバーは男子十九人、女子二十一人で、六年間一緒に過ごしてきたクラスメートだけに、チームワークは抜群。メンバーによると、練習を始めたのはなんと一週間ほど前。それでも、持ち前の団結力で集中的に練習をこなし、その成果を本番でしっかりと披露した。
随所にクイチャーの要素を取り入れながら、ダイナミックな振り付けを織り交ぜ、直線から円、円から直線と目まぐるしく変わる踊りには個性が光った。子どもたちは、大勢の前で踊れる喜びから、終始笑顔が絶えなかった。平野新也君は「練習と比べても、きょうの踊りはすごかった。もう最高!」と興奮した様子だった。
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パニパニ賞 みつばアンジェラス/跳んではねてパニパニ
かわいらしい踊りでパニパニ賞を受賞した「みつばアンジェラス」=5日、カママ嶺公園多目的広場 |
みつば幼稚園(當間弘子園長)と同保育園(大野幹夫園長)の園児六十六人で結成した「みつばアンジェラス」がパニパニ賞を受賞。跳んだりはねたりと、まさに「パニパニ」とした動きで観客を魅了した。
園児たちは、おそろいの三つ葉マーク入りのTシャツに頭には色とりどりのバンダナを巻き、少し緊張気味な表情で入場した。
「ワイドーソーラン」の音楽が流れ始めると、体を大きく揺らしリズムに乗って笑顔に。練習の成果を体いっぱいに表現し「ヒヤサッサ」と掛け声を上げていた。
会場には大勢の父母らが駆け付け、わが子のかわいらしい踊りを見詰め、ビデオカメラに収めていた。
園児らは普段の体操の時間などで、踊りに取り組んでいるという。クイチャーフェスティバルには第一回から参加。毎年、かわいらしい踊りで観客を魅了している。
表彰式で園児たちの代わりに賞状を受け取った同保育園の国仲順子さんは「予想していなかった賞に驚いた。子どもたちはすごいなと思った。思わずやったーと声を上げた」と喜んだ。
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アパラギ賞 北小学校ダンス部SOUL BEANS/ヒップホップと融合
アパラギ賞に輝いた北小学校ダンス部SOUL BEANS=5日、カママ嶺公園多目的広場 |
「アパラギ賞は北小学校ダンス部SOUL BEANS(ソウルビーンズ)」−。結果発表で名前が呼ばれるとチーム全員が手を上げて喜んだ。キャプテンの川満愛さん(六年)は「うれしいより先に驚いた」と話し、メンバー全員と大騒ぎで喜んだ。
SOUL BEANSが挑んだ創作クイチャーはアップテンポなヒップホップと伝統クイチャーを融合させたオリジナルダンス。アニメ「ルパン三世」の主題歌をラップ調にした「ルパン・ザ・ファイヤー」とオレンジレンジの「上海ハニー」の二曲を選曲した。クイチャーの振りを取り入れながら、演劇やアクロバットも挑戦し、「見せる」踊りで観客を引き付けた。
始まる前は「みんな緊張していた」が、踊りが始まると元気と笑顔の演技で「見ている人が私たちの演技で盛り上がっているのが分かった。とてもうれしかったし、楽しかった」と振り返った。
表彰式が終わり、指導に当たった尾崎真司教諭は「部を結成して七カ月。今までで一番の踊りを見せてくれた。表情も最高でした」と大喜び。「またいろんなステージ一つ一つを頑張っていきましょう」と呼び掛けると、メンバーらは「はい!」と元気な声で返した。
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地声と手拍子のみ 友利郷土芸能保存会/楽器使わず独特のクイチャー
小学生から大人まで一緒になってクイチャーを披露した友利郷土芸能保存会のメンバー=5日、カママ嶺公園多目的広場 |
伝統クイチャーの部に出場した友利郷土芸能保存会(友利元誠会長)は、小学四年生から大人まで約六十人が参加。演舞場に大きな円を描き、男性はジャンプするなど躍動感あふれる踊りを披露した。
友利のクイチャーは、四百−五百年の歴史があると言われている。三線などの楽器を一切使わず歌と手拍子だけで踊るのが特徴。同地域に近い砂川や宮国と似ている。歌では、みんなが自然に集まり、夜通しクイチャーを踊ることが歌われているという。
友利会長の歌声に合わせて、全員が手を打ち、大地を踏みしめ、しなやかに手を返す。子どもたちも大勢参加し、伝統のクイチャーは次の世代にしっかりと受け継がれている。
クイチャーフェスティバルでは、ほかの地域のクイチャーが見られることを楽しみにしているという。友利会長は「やっぱり友利のクイチャーが一番だね」と誇らしげに笑った。
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